写真に匂いは映らない

過日日本で、インドで撮った写真を会社の同僚に見せていると、通りかかった先輩が一言、”写真には匂いは映らないからな・・・”。その先輩は昔からインドには何度も出張している人で、ことさらインドの悪口を言うような人ではないのですが、インドの印象をサラッとその一言で表現したのでしょう。確かに。インドの最大の印象は匂いかも知れません。

金浦空港に降りたらにんにくの臭いがする、インドに行ったらカレーの臭い、などど言われます。ところがここで言っているのはそんな生易しいものではありません。生ゴミの腐った臭いを中心に、人や動物の排泄物などが混ざり合ったなんとも耐えがたい匂いがいたるところに漂っています。デリーの近くにはヤムナ川という川が流れていますが、いまや”Dead River” と呼ばれています。もともと流れが遅い上に、あらゆる生活廃棄物、排泄物、工場からの排水などが流れ込んで、悪臭を放っています。その酷さといったらたとえようも無く、もはや回復不能ではないかと思えるくらいで、こうした川にしてしまったインド人に対し怒りさえ沸いてきます。都市にある川はほとんどこんな状態で、匂わない川は無い、と言い切れます。この川に関する話はまた改めて。

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*右側は家の近くを流れる小川で、なんともいえない悪臭が漂ってきます。周囲にはゴミも散乱しています。

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*インド人はこういう状態があまり気にならないようです。もっともこれは良いほうですが。

ゴミの収集屋というのはいるにはいるのですが、インドでもこの職業に携わる人はあまり良い部類ではないようで、その怠慢というかいい加減さに、いたるところで住民から苦情が出ています。さらに加えて先日はごみ収集業者のストライキなどもあり悪化に拍車をかけています。日中はつい先日まで30度を超えていましたので、あっという間に腐りだし、周囲に悪臭を放ちます。匂いというのはたいへん印象的で、過去経験のある匂いを嗅ぐと、それを経験した場所とか時をすぐに思い起こさせます。記憶力は衰えているのだけれど、匂いだけはその時の印象をしっかり体に覚えさせてくれます。

ではインドの人は自宅もそんな不潔でいるのか。聞く所によると決してそんなことはなく、掃除機なんかは使わないにしても一日に2回ぐらい掃除するのはあたりまえとか。でも外が汚いのは気にならないんですね。要は公共性がないわけです。自分さえ良ければOK。外でゴミを棄てることに何の抵抗もないように見えます。前を走る車の窓から次々をゴミが道路に投げ出されるのを見る事も日常です。昔日本から来た社員が、電車のなかで、自分用のゴミ袋を持ち歩いていたら、”お前はなんでそんな面倒なことをするのだ?その辺に棄てればいいじゃないか!”と不思議がられたそうです。日本では考えられないですね。現在の首相Modiさんが日本を訪問してからまず言い始めたことは、”自分の家の周りをきれいにしよう” というキャンペーンを張り、自ら箒をもって自宅の廻りを掃いている写真が新聞に掲載されたものです。しかし、そんなことぐらいで簡単に人々の意識が変わるはずもありません。ゴミを拾うなどという”仕事”は、自分のやることではない!最下層の人間がやることだ!というまたまたカーストの問題も絡んできます。そもそもゴミを棄てなければいいのですが、上述のような意識ですから、道のりは遠いといわざるを得ません。

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