ある月曜日の夕方、会社のスタッフと軽く一杯やっていると、その中の一人が8月に日本に行くことになっていて、既に日本に行ったことがある社員もいて、日本についての話に花が咲きました。食事のこと、ホテルのこと、観光地のこと、新幹線のこと、日本のインド料理店のことなどなど。 そんななかで”有名な” 納豆の話にもなりました。 ”じゃ、食べてみる?” ”え?あるんですか?” ”もちろん。家の冷凍庫に保存してますよ。じゃ、明日(火曜日)は断食の人もいるから、明後日忘れなかったら持ってきてみるよ”
水曜日のお昼時間。愛用のおかめ納豆2パックを会社に持参。パックのまま、備え付けのしょうゆとからしをやや少な目に入れて混ぜ合わせていると、間もなく糸が引き始め、それを見ている人たちの笑顔が、少々こわばってきました。 ”ま、この糸が発酵している証拠なんですよ。原料はインドでもおなじみのSoy Beansだからどうってことないでしょう。どうぞ一口” と言うと、まず以前シンガポールで?食べたことがあるというSさんがトライ。 ”味はまあ悪くないと思うんだけど、この見てくれと食感がね・・・” 他の未経験者も、恐る恐るスプーンで 2-3粒試食。しかし反応なし。一応口にはしましたが、吐き出しはしなかったものの、早くその味を忘れたいが如くに、家から持参のカレー弁当に集中。まあ、言わば腐った豆ですからね。日本人だって、関西の人は食べないし、ましてや食にコンサバのインド人には無理だろうな。
*納豆とカレーランチ。少なくともパン(ロティー)には合わないわな。
2パック持ってきましたが、1パックの半分も消費されず、結局私が食べることに。望むところではありましたが、その日のランチはデリバリーされたチキンビリヤーニ。 ビリヤー二とは、チャーハンと炊き込みご飯の中間のようなものに、スパイスを効かせたもの、といえば想像がつくでしょうか。 当然納豆とは合うとはいえません。というか、一緒に食べてよりおいしくなる効果はない、といったところ。
*そもそも納豆に合うインド料理なんて無いと思うけど、インドのお米でも白いご飯だったらいいかも。
月曜日には魚の干物の話題なども出て、それも持って来ようかと思いましたが、魚の干物などは納豆よりはるかに貴重品で料理というか準備が面倒。とうてい喜んで食べてくれるとは思えないかったので、納豆のみにして正解でありました。
彼らは日本に行ったとしてもインド料理しか食べません。ほんの一部の例外を除いて。 日本にはおいしいものが山ほどあり、日本の食事を試さないとしたら、日本の魅力の半分以上は無駄にしていると思うけど、こればかりは理屈でもなし、とにかく口に合わないんだからどうしようもなし。 日本人にとってはカレーも好きだし、中華料理もイタリア料理もみんなおいしく食べられるんだけど、インド人はそんな他の国の料理にほとんど興味を示しません。
欧米人の場合はどうかというと、日本に来た時に日本の食事を楽しみにしている人は少なからずいますが、一日に一回、たとえば夕食とかは喜んで食べるけど、翌朝の朝食も和食、というのは勘弁してくれ、という人も多いです。確かにそうかも。 また、出張中日本の食事をたっぷり楽しんだけど、国に帰って、”フィッシュアンドチップス” を食べるとホットするよ(イギリスの場合)” という気持ちも良くわかるような気がします。