はだしの社員

私が最初にインドに来たころ、およそ18年前にもなりますが、それはそれは現在のインドとはまったく違っておりました。100 年変わらないと言われていたインドですが、この20年の変化は大変なものです。車も少なく、ほとんどがスズキマルチ(日本のスズキアルト)かアンバサダーというイギリスのオースチンのレプリカ、あるいはフィアット(イタリア)のみという感じで、トヨタや現代なんでめったに無くて、ましてやベンツやBMWなんて見たこともありませんでした。                                                    最初に降り立ったのはチェンナイ(昔のマドラス)でしたが、”空港ビル”などという立派なものなどなくて、2-3階程度のみすぼらしい建物でした。”空港ビル” を出るやいなや裸の物乞いがワーッと寄ってきて、金をくれだの荷物を運ばせろなどと、カートを奪いとらんばかりに右から左から寄り付かれたものです。時には追い払うのも面倒になって、運ばせて10ルピーぐらい上げたりしたこともありました。それでも”Thank You”の一言でもあればまだよかったのですが、さも当然のごとく奪い取るようにして去って行くのをみて、”やらなきゃよかった” とムッとした覚えがあります。                                                   街を行く人たちも裸足で歩いている人など普通のことで、道も悪いですから、足の裏の皮はさぞかし硬く、靴底のようになっているに違いない、などと想像したりしたものです。

しかしかなり豊かになった今でも、裸足で街を歩いている人もいます。道路はゴミだらけで、砂埃もひどく汚いのですが、サンダルを買うお金がないのではなくて、気持ちがいいからでしょう。                                                    事務所のなかでも裸足でいる人がいます。しかもなぜか女性に多いです。(女性社員は全部で3人)事務所は引っ越したばかりで新しいものの、さほどきれいとも思えないのですが、彼女らは気にならないようです。私は注意するほどのこともないだろうと、見て見ぬふりをしています。                                                 暑いインド、実は私も内心では、”裸足で居れたらさぞ気持ちいいだろうな” などとうらやましい気持ちもあります。一日靴と靴下を履いて、家に帰って裸足になったときの開放感というか気持ちよさはなんとも言えないものがあります。少なくとも事務所に居るときには裸足で、サンダル履きでいれたら、と思います。                              ここインドでは裸足とかサンダル履きというのは決して不作法ではないようです。デリー市長ぐらいであっても公式の場所にサンダルで登場します。サウジアラビアあたりでもそうですね。あの、オバQ(だいぶ古い?)みたいな白一色の民族衣装にサンダル履きが一般的です。仮にどこかの王室の人であっても。                                            そういえばシドニーあたりでも、裸足で町を歩いている人が結構いました。男も女も。そしてそのまま足も洗わず家に入るんですね。もっとも靴を履いていてもそのままですが。

仮に私が事務所で靴下をはかず、サンダル履きであっても誰も文句は言わないでしょうが、日本人としては少々抵抗があります。でも実際には私がしてくれたら、みんなもそうしたいと思っているのかも知れません。

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