月別アーカイブ: 2018年12月

2018年打ち納め

娯楽が少なく、また単身赴任が多いインド駐在者にとって、ゴルフは数少ない娯楽のひとつです。私がインドに赴任した時は、5月の酷暑期でもあったため、早朝からゴルフに出かける人たちを横目に、”このクソ暑いのに、頭おかしいんじゃないの?” と思ってたものですが、11月ごろになってだいぶ涼しくなってきたので、”テニスだけではなくてゴルフも再開してみるか” と日本人ゴルフ同好会に参加し始めてから、いまでは”ゴルフをしない人は週末は何しているんだろう? などとと思ってしまうほど、ゴルフにはまってしまいました。    ほんと、その立場になってみないと、その人の気持ちというものは分からないものです。

いまでは日本人ゴルフ同好会のみならず、干支会など複数の同好会にも参加し、週末2日間とも参加することも珍しくないほどになっています。比較的料金は安く(インドの物価水準から見たら高い=日本の料金よりもやや安いぐらい)、デリー近郊ならそこそこの数もあり、インドは、そういう意味では意外な”ゴルフ天国” であるかも知れません。過日も書いたように、ゴルフ場のクオリティーはとうてい日本のそれに比較できるものではありませんが。

そうこうしているうちに、2018年も年末を迎え、”打ち納め” の日がやってまいりました。  デリーの冬は、寒いだけでなく、朝方は濃い霧が発生することもしょっちゅうです。こんな濃霧のなかでほんとに出来るんですか?と聞きたくなるほどですが、これでもやるんです。 闇夜のなかで刀を振り回すようなものですが、ちゃんとまっすぐ飛ぶ人にとってはさほど問題ではありません。一人ひとりに必ず付いてくるキャディーも慣れたもので、ほぼ落下地点に行き着くことが出来ます。まるで日本の屋内練習場で、打球の速度と方向、回転数から、落下地点を計算できるシュミレーターのようです。視界は20mぐらいはありますので、落下地点半径20Mぐらいまでのところに行くことができれば、まずボールを見つけられるというわけです。

*人が立っているあたりがTee(スタート地点)で、前方の左右の木の間を狙います。すなわちフェアーウェーです。でも左右の木々の中や、藪の中に入ってしまったら、そのあたりはさらに霧が絡まっており、慣れているキャディーを持ってしても、”ロスト” の可能性は高いです。

*一番左の人がTee Shot(スタート)しようとしているところ。しょっぱなから”ロスト” となるとたいそう気落ちしますが、仕方がありません。この霧は通常10時ごろには晴れてきます。

インドも1月1日は休日で、今年も ”打ち初め” から2019年が始まります。               読者の皆様、良いお年をお迎えください。

 

インドも寒い

日本から見るとインドというと”いつも暑い” という印象でしょうが、インドは大国であり、北のカシミール地方にはスキー場もあるし、同じ時期に南部では30度を越します。ニューデリーは北部に属し、しかも内陸に位置するため、夏は45度を超え、冬は5度以下に下がります。(マイナスは無い)                                                    クリスマスを迎えるこのところは今年一番の寒さで、ニューデリーでは4度まで下がりました。私のアパートの中でも、朝起きると吐く息が白く見えたこともあり、そんな時は10度を下回っていると思われます。部屋には電気ヒーター2つありますが、一つは買ってからまもなく壊れてしまい半分しか機能していません(800ワットのところ400ワットのみ)。部屋を暖めるというには程遠く、アイロン掛けなど作業している分には問題ないのですが、じっとしている時には、ヒーターをまん前に置いて暖をとるという、極めて侘しげな風景になります。                 シャワーからはもちろんお湯は出ますが、お湯の出方は誠に元気なく、温まるというより、冷え切るまえに、気合を入れて体を洗ってしまわなければならない、というようなこれまたつらいというか、インドらしいというか。ホテルでもお湯が出ない、ということもしばしばですからね。日本の生活環境が恵まれすぎているのかも知れません。                  夏には一日に2回以上も浴びていたシャワーも、冬には毎日浴びるのも面倒になり、それでもどうってことないな、などと新しい発見をしたような気になったり。

インドではホームレスが山のようにおり、日本の比ではありません。彼らにとって、夏も大変ですが、冬はもっと厳しいものになります。私のアパートの近所にもいっぱいおり、彼らは少なくとも雨を凌げる陸橋の下などで、毛布に包まって夜を過ごします。彼らの生業はわかりませんが、物乞いであったり、掃除人夫として日銭を稼いだりしているものと思われます。 同じ陸橋の下というか、道路の脇で火をたいて、チャパティなどを作っているところを見ることもよくあります。燃料は、あたりから集めた木々や、乾燥させた牛の糞でしょう。もちろんそれなりの”カレー” も作っているに違いありません。が、水はどこから?、トイレはどこで?お風呂は冬の間ずっと入らないのだろうか?などとあまり追求したくない疑問点はいっぱい出てきます。                                                    たまに彼らがまったく居なくなることがあり、それはデリー政府が立ち退かせているようなのですが、どこからともなくまた戻ってきます。デリー市がホームレスのためのホームを用意できるとも思えないので当然ですね、ホームレスですから。

*朝6時ごろの陸橋の下のホームレスたち。左側の女性がちょうど起きたところで、これから食事の支度などをするのでしょう。

*同じ陸橋の下、右側半分の風景です。全部で20人ぐらいは寝ています。

親が居ない、ストリートチュルドレンも方々に居るようですが、以下の新聞記事によると、彼らを利用する悪い大人が居て、日中は彼らを何らかの仕事をさせて、夜は食事を与えるのでしょうが、ビデオを見せたり、寒さに対する感覚をマヒさせるために麻薬を与えたりする、というから驚いてしまいます。そしてビデオや麻薬の代金を日銭から差し引くというのですから、”あこぎ” なものですが、彼らもそうやって生きて行くしかないのでしょうか。

 

ぬか漬けに挑戦

過日、ある日本食レストランで食事していた折に、”ぬか漬け” が出てきて、その出来具合に感心しました。                                                      ”やっぱ、ぬか漬けはおいしいっすね。インド人にも教えてやりたいわ”            ”私、自分でぬか漬け作ってますよ”                                  ”えー、すごいですね。でも、ぬかなんかインドで売ってないですよね?”                               ”もちろ日本で買ったものですけど、夏は冷蔵庫をかなり占領しますが、今の時期だったら冷蔵庫に入れる必要ないし、簡単ですよ”                                  漬物というか、発酵食品をこよなく愛する私としては、それまで”一夜漬けの素” すなわち塩に少々の化学調味料や昆布、鷹の爪などが入った便利なものなのですが、少々飽きを感じていたので、 私もぜひぬか漬けを作ってみよう、と思い立ちました。                                                    すぐに作ってみたいと思ったものの、ぬかなどインドに売っているはずありません。来年の2月に予定している一時帰国まで待つしかないか、、、とあきらめつつあったところ、二週間後に日本からの訪問者があることを思い出しました。このようなこと誰にでも頼めるわけではないですが、今回の来訪者Hさんなら気軽に頼めそうです。                                     ぬか床の作り方は、サイトでいくらでも検索できます。やや面倒ではありそうですが、おいしいぬか漬けが食べられると思うとそれくらいの労は厭いません。

二週間後、H氏より無事ぬかをゲットし、早速挑戦。インターネットで調べるまでもなく、さすが日本の商品、袋の裏に作り方が書いてあります。極端なはなし、水を加えてかき混ぜるだけです。塩とか昆布などはすでに入ってます。漬かる時間は野菜の種類にもよりますが、きゅうりなら8時間くらい。大根なら12時間ぐらいとあります。いわゆる一夜漬けなら、夜漬けておくと翌朝食べられるわけです。明日の朝食のおかずはぬか漬けと味噌汁だけの”ぬか漬け定食” でもいいか、なんてうきうきした気持ちにさえなってきました。

*一袋だけ頼んだのですが、インドへの出張者は気を利かせて2袋買って来てくれました。食べる前には当然ぬかを洗い落とすので、結構ぬかが減ってゆきます。そのことを知ってか知らずか、2袋買ってきれもらったのはありがたかったです。

*タッパーに作ったぬか床。一袋分で、この中に野菜を埋め込むだけです。

さて初めてのぬか漬けのお味は?                                   うーん、はっきり言っていまいちでした。たぶんぬか床の発酵が十分でないのでしょう。インターネットには”捨て野菜” を入れてしばらく待つように書いてありましたが、ぬかのパッケージの案内だと、すぐにぬか漬けができます、なんて書いてあったので、期待した私が間違いだったかもしれません。あるいはきゅうりの品質が良くなかったか。はたまた漬けた時間が足りなかったか。

*にんじん、きゅうり、大根の一夜漬け。漬かり具合はいまひとつでした。

翌日もうちょっと漬かったものを食べてみると、確かにベターです。きゅうり、にんじん、大根、ナスを一気に漬け込んでしまったので、比較的早く漬かるきゅうりから順に食べておりますが、漬かりにくいナスもさすがに3日目ぐらいになると、結構塩味が強くなり、漬かりすぎの感あり。ぬか漬けは簡単といえば簡単ですが、本当においしいぬか漬けを作り出すには少々の修行と試行錯誤が要りそうです。

 

インドでインプラント‐その2

長年、歯で苦労している私は、自分の症状を自覚し、それに対して歯医者が言ってくるであろうことをかなり正確に予想できます。アポを取るときのメールでは ”この鈍痛を感じる歯は、10年以上前に治療してたところで、神経が無く、おそらく歯根の部分が化膿していると思われます” と書いたのですが、レントゲンを見たDr. Poonam先生は、                            ”状況はよろしくないです。歯の根っこの部分が化膿しておりますので、早急にこの歯を抜いて、インプラントを入れるべきでしょう”                              ”わかりました”                                               私は予想した通りの見立てだったので、なんの迷いもなくそのアドバイスに従うことにしました。実は私、既に3本のインプラントを入れており、インプラントにさほど抵抗感が無かったというのもあるでしょう。また、噂のとおり、自信に満ちた、”私に任せておきなさい” みたいな、頼りがいがある肝っ玉先生のように見受けられたのも安心材料だったかも知れません。

”4日後の夕方もう一度来れますか?抜歯します”  ”分かりました”                           ”来る一時間前にこの薬を買って飲んで来てください。まずは悪い歯を抜いて、腐食している骨の部分の再生を待ちましょう。それにはおよろ3ヶ月かかります。しっかり骨の部分が再生したら、インプラントを入れます。その”ネジ”が固定されるまで3ヶ月ほど待って、良好ならセラミックの歯を取り付けることになります”                                      価格は明朗会計で、既に表になってます。

*インプラントで50,000ルピー(約8万円)と日本に比べるとかなりリーズナブルです。これにプラス歯(セラミック)が15,000ルピーほどかかります。

さて、4日後の抜歯の時が来ました。アポの一時間前に指定の薬を飲んで、いざ。    いったん覚悟を決めてしまうと、任せるより他ありません。                     日本と同じように麻酔の注射を打って、10分ほど待ったものの、毎日お酒を飲んでいるせいか、効きが悪いとみえて再度追加注入。もちろん注射の痛みはもうありません。     しばらく待ってから、ペンチのようなものでいとも簡単に抜歯完了。神経も無く、根っこが傷んでいたため、なんの抵抗もなかったのでしょう。                                ”これから一時間は、熱いものは飲んだり食べたりしないでください。たとえばコーヒーとか” すかさず、”じゃ、ビールはいいですか?”                                     ”ビールは冷たいのでいいでしょう” ・・・なんと予想に反し、問題なしとのこと。アルコールの作用で血が出たりしないのか、などと内心心配しつつも、医者が良いといっているんだから、これ以上の質問はやぶへびになるから止めておこう。

ところが家に帰っても、麻酔薬をいっぱい注入したせいか数時間経過しても、右半分の感覚が戻りません。ビール飲めなくもないですが、せっかく飲んだものが、右半分からこぼれ出ても気がつかないかも、といった感覚です。でもなんとか気をつけて、ちびちび流し込んだのですが、ビールをちびちび流し込んだのではいまいち味気なし。一旦はあきらめていたものを手にして得したような気持ちになったものの、結局その日は軽く缶ビール一本だけで止めておきました。                                            本治療のピーク、インプラントを入れるのは来年の2月初めの予定です。その3はそのときまでしばらくお休みです。

インドでインプラント‐その1

過日初めてインドの歯医者に行ってみて、そこの結果が良かったからというわけではありませんが、今度はインプラントを入れる決意をいたしました。                      そこは、外れたクラウンを接着した歯ではなくて(接着してもらったクラウンはその後良好です)、まったく別の歯なのですが、元々調子が悪く、いつかは入れ歯かインプラントにしなければいけないだろうと予想していた部分です。ここ数年は小康状態を保っていたので、日本に本帰国したら治療してもらおうと考えておりました。                             そんなある日、たまたまゴルフ仲間の一人、Mr. Y氏が、上の前歯がまったく無くなって登場し、みんなを驚かせたのですが、事情を聞いてみると、上の歯をすべてインプラントにすることに決めたというのです。                                                   ”え、それってインドの歯医者でやるんですか?”                         ”もちろんそうですよ。日本に帰る予定もないですし”                                          ”よく決断しましたね。しかも上の歯すべてということは14本ぐらいになりますよね?”   ”インプラントを4本ほど入れて、その4本ですべての歯を支えるんです”           ”その歯医者はどこですか?”                                  ”Safdarjungにあるなかなか評判の良い歯医者ですよ”

そんな話をしてからしばらくの後、私の調子の悪い部分、そこは右下の奥歯から2番目ぐらいの歯なのですが、噛むと鈍痛がし、右側で十分に噛めなくなってしまいました。ご飯ぐらいなら問題ないのですが、たとえばナンでは少々固いため痛みを感じてしまいます。困った困った、これは日本への一時帰国まで待てないかも。                                                                        この際Mr. Y氏にその評判のよい歯医者を紹介してもらって、たぶんインプラントになるだろうけど、覚悟を決めて治療するか。私も次の一時帰国まではたっぷり時間がありますし、仮にインプラントを入れるとしたら、一週間や二週間で済む治療ではありませんから、日本に帰ったついでに、というような簡単なものではありません。                                         というわけで、覚悟を決めてMr. Y氏にその歯医者を紹介してもらい、治療することに決めました。 インドの歯医者が日本の歯医者より劣っているという証拠はどこにもありませんし、たまたまですが同じ頃、日本のH医科大学整形外科よりインドの病院に派遣されている先生とも知り合いになり、”インドの病院と医師の質の高さにびっくりしました” という情報も背中を押すことになったと思います。もっとも医師と歯医者はちがいますけど。

その評判の良い歯医者は、Dr. Poonam Batraという女性の先生でした。メールで、アポをとるため症状を記したメールを出すと、間もなく返事が来て、2日後の9:30に来るように、とのこと。診療所は自宅からかなり近く、車で20分ほどのところです。

*Dr. Poonam Batra先生。サイトより拝借。

*待合室。壁にはここで治療した人たちの写真とコメントが。多くは各国大使とか外国人がほとんどです。日本や欧米の人たちも少なからずいますのでそれなりに安心材料ではあります。