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東大の学食

珍しく6月の梅雨の時期に日本に一時帰国することになったのは、ひとつにはインド人スタッフの日本への案内役というのがありました。営業やエンジニアーは、日本での研修があるので、ある程度定期的に日本へ行くチャンスがあるのですが、アドミ関係はまずありません。そこでインセンティブといいますか、研修と称して日本本社への訪問となったわけです。  6月は雨季(梅雨)なので、5月を強く勧めたのでありますが、真面目な我が社員は”6月上旬まで17年度の決算が終了しないので、それが終わってからにしたい” という殊勝な心がけで、6月13-16日の日程と相成りました。                                普段の心がけがよろしくとも、梅雨には雨が降ります。大手町の事務所を訪問した後、せっかくだから皇居を見てみようと、事務所を出たとたんに雨が降り出し、タクシーで皇居に着いたときには土砂降りになりました。傘は4人で2本しかなくほぼずぶ濡れ。雨のせいか、そこからタクシーを拾うことも出来ず、二重橋までぐちゃぐちゃと歩き、地下鉄で根津に向かいました。

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*二重橋前から丸の内方面。

東大はわが社にとって最大の顧客と言っていいところですので、インド人スタッフにもどんな風に使われているのか一度見せておこう、というわけです。そこで逆立ちしても入れない東大の学食でランチでも食べて、しばし東大の雰囲気でも味わおうという計画です。ま、そんなこと考えていたのは私だけかもしれませんが。

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*手前の薄青いものが1943年に東大で作られた電子顕微鏡だそうです(高さ1m強)。こんなところに無造作に置かれているのは勿体ないとおもうのですが。

ずぶ濡れになった4人も、東大の見学を終えるごろには着ているものはほぼ乾き、安田講堂近くの第一食堂に向かいました。インドからの2人はベジタリアンではないですが、牛肉はもちろんのこと豚肉もだめですから(魚もまず食べない)、選択はかなり限られます。事前に”親子丼” あたりなら問題なかろうと考えて、”半塾の卵は問題ないよね?”などと確認さえしていたにもかかわらず、それらしいメニューが見当たりません。カツ丼はあったかどうか確認してないですが、親子丼なんてメニューはもうはやらないのだろうか?さすが東大、”ハラル料理”なんて選択さえあるのに。                                         仕方ないので、鳥のから揚げに半熟卵を載せたどんぶりを頼んでみました。(結局ほとんど親子丼と材料は同じですが) インド人は食に対してとてもコンサバですので、最初は奇妙なものでも見るように”から揚げ丼”を眺めて後、恐る恐るスプーンで口に運んでいました。一人は”Good”と言ってくれましたが、もう一人はちっともおいしそうな顔をしていませんでしたので、口に合わなかったのでしょう。それでも悪いと思ったのか、なんとか全部食べたようです。日本人にとっては無くてはならないしょうゆ味、インドにはどうも合わないようです。                                                       この第一食堂は最近改修されたらしく、とてもきれいでモダンでありました。さすがに海外からの留学生と思われる人も多く、また昼間からビールを飲んでる人もおりました。学食でビールが飲めるってのは、さすが東大というべきか、インド人もびっくりです。

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*から揚げ丼に半熟卵かけ。確か550円ぐらいでした。Suicaで払えます。

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*付け合せにサラダ(ゆでた豆など)を取っていましたが、ドレッシングなどが目に入らなかったようで、”日本ではやはり素材そのままを味わうんですね・・・”

 

暑い・・・

およそ10日間ほど日本に一時帰国してデリーに帰ってみて、この時期の暑さを改めて思い知らされました。日本は”梅雨寒” などという言葉があるくらいで、夜は軽めの布団や毛布が欲しいくらいでしたので、日本の気候に慣れた体には、最高45度近くにもなるデリーの暑さはひとしおです。ちなみに今日(6月25日)の日本では、宇都宮で35度を越す真夏日、などと報道されていますが、かわいいものです。デリーではそれは最低温度に近いです。

アパートに帰ってみると、触るものがすべて熱いのです。椅子もテーブルもドアもなにもかも。普段住んでいる時は、夜を含めて少なくとも在宅中はエアコンを入れているので、昼間家を開けておいても、ここまで完璧に温まる(熱せられる)ということは無かったということでしょう。慌ててエアコンを入れるものの、10分経っても15分経ってもちっとも冷たように感じません。部屋全体があまりに熱くなっているため、冷えるのに時間がかかるのか?? あるいは外の空気が熱すぎるのか?                                     インドを出る前は、部屋全体でも一台のエアコンで十分快適な温度が得られておりましたので、しばらくしたら適温になるであろうと信じて、汗を流すべくシャワー浴びると、こちらは最初から40度ぐらいのお湯が出ます。しばらくお湯を出し続けていると、徐々に生ぬるいお湯になってくるという、通常とは間逆の状態です。                                                 家に着いたのが夜一時近くでしたので一刻も早く寝たいと思い、ベッドに横になるとまたベッドが熱くて、背中がじわじわ焼かれているようです。少しでもベッドとの接地面積を少なくするべく、横向きになり、めったに使わない天井備え付けの扇風機を回してみると、天井あたりに溜まっていたより熱い空気が体に降りてきます。下から暖められ、上からは熱風を吹き付けられたまったものではありません。再度隣室のエアコンのチェックに行くと、動いてはいるのですが、設定した温度(普段設定したことのない20度!)の空気が出ているようにはとても感じられません。壊れたか?ほかのエアコンもあるにはあるのですが、普段まったく使うことは無く、2年以上も掃除をしてないため使う気になりません。

しばらくして、多少は冷えたように感じ、ベッドに戻って横にはなりましたが、3時間も寝れたでしょうか。でも翌朝は体全体が汗ばんでおりました。寝る前にシャワー、朝起きてシャワー。エアコンはやはり十分機能していないようです。耐え難いので、普段使わないほかのエアコン(2台)を思い切ってスイッチを入れてみました。室外機などさぞかし埃が詰まっているでありましょうが、意外にも冷えた空気が出てきます。きっと詰まったごみや埃などで、苦しい”運転”を強いられていることでしょう。一台のみを使いすぎたため機能が低下したか、あるいは一時帰国中に冷媒ガスが抜けてしまったのか。

やや話は逸れますが、下の写真は翌朝のベランダです。たまった新聞(毎朝下の道から2階のアパートのベランダに投げ込まれる)にかなりの砂が溜まっています。仮に”砂塵嵐” が無くとも、一週間も放置しておくと、このくらいの砂がたまるのがデリーです。しっかり戸締りしても、その一部は部屋のなかまでしっかり侵入してきます。ですから、一年を通して、日本のように”窓を開けて空気を入れ替える” というような習慣はありません。選択物も部屋干し以外に考えられません。                                       過酷な生活に聞こえるでしょうが、エアコンがあれば耐え難いほどでもありません。しかしインドではまだ大多数がエアコン無しの生活なのです。そして何千人もの人がこの暑さで命を落とします。

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*ベランダに投げ込まれた新聞と積もった砂塵。ベランダの色は本来濃い青色です。(青い大理石風)

 

砂塵嵐

今は昔学生の頃、気象について勉強したことがあります。その一つに、天気図作成というものがあり、NHKラジオ第二放送の”気象通報” を元に日本の天気図を作ったものです。気象通報はまだあるのでしょうか?ラジオがないのでわかりませんが、日本の新聞のラジオ番組欄に載ってないので、もうないのでしょう。今は衛星のおかげで天気が正確に予想できますからね。                                                     気象通報はたとえば、”南大東島では北北東の風、風力3、気圧1010ミリバール、天気晴れ” などといった全国各地の情報を聴きとりながら、天気図を作成します。天気図作成用紙というものが専用に売られていたのですが、その天気記号の中に”砂塵嵐”というものもあり、日本の天気図作成にはそんな記号を使うことはないので、”この世にはそんな天気もあるんだろうな”ぐらいに思っていました。                              砂塵嵐はやはり中東の砂漠地帯に多く発生するようですが、インドにもたまに発生します。 あたりいったいが砂埃で靄がかかったようになり、日中だと太陽がぼんやりオレンジ色になります。冬に発生する霧ほど視界が悪くなるわけではありませんが、砂が混じった空気、しかもその砂には牛や犬のウンチなどが混ざっているであろう空気を吸い込むことになります。  インド人でもかなりの人がマスクをしたり、白い布を頭から巻きつけ、目だけを出して、まるでミイラのような、月光仮面のような姿も見かけます。(ちょっと古かった?)

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私はそんな天気のニューデリーを後に、運よく日本に一時帰国することになりました。日本は梅雨が始まったばかり。こんな時期の日本には10年以上帰っていません。じめじめと蒸し暑い、という梅雨の印象は私にとってあまり良くはないのですが、成田エキスプレスから見える風景のなんと緑のきれいなこと。感動ものです。                       今回はインド人スタッフの案内も兼ねていたのですが、彼らの感想も同様。日本に来る外国人はみな感心するようですが、”こんなきれいな国は見たことがない”といったものです。 もちろんゴミが落ちていないということも含めてでしょうが。                    日本で生まれ育つと当たり前のように思っている風景かもしれませんが、決して当たり前の環境ではありません。