郷に入れば郷に従え、などと言っていたら早くも信号無視で捕まってしまいました。 もちろん信号無視など積極的にやる意思など毛頭なく、その日も赤信号が見えたのですが、横断歩道も停止線もないため何処で止まってよいのかわからず、ほんの一瞬戸惑っている間に、赤信号を無視して行く前の車につい釣られてずるずると前進してしまいました。ややカーブになった信号の先には、それまで見えなかった警官が手招きしています。日本のように、道路の端に止まらせられ、”免許書を見せて” と定番のパターン。 更新してから初めての免許書、自分でもよく見たことなかったですが、免許書についてはなにも言われなかったので問題ないのでしょう。 ”信号無視で罰金と免停3ヶ月” と言われ、”罰金はしょうがないけど、免停は困るんですけど。罰金もしくは免停ってこと?” と確認すると、”両方だ” と言います。その警官は私の免許書を見ながらクレジットカードリーダーのようなものを細いペンでなにやら打ち込んでいるように見えました。でも格好だけのようにも見えます。本来はそこから領収書が出てくるのでしょう。 ”罰金はいくら?” と聞くと ”1,100ルピー”(約1,700円) ”今払うですか?” ”Yes”。 素直に1,100ルピーを差し出すと、即自分のポケットに押し込みました。内心、これはきっと自分でねこばばするに違いないと推測し、カードリーダーのようなものから領収書も出てこないので、”じゃ、行っていい?” と聞くと” OK” と一言。 1,100ルピーは取られましたが、ラッキーなことに免停無しで済んだようです。
その日はよく見ると警官があちこちに立っていました。実はデリーと隣接するハリヤナ州のJatsというコミュニティー(カースト)の大規模な抗議デモが計画されており、デリー市内はそのためにいたるところで警備していたのです。ただ立っていても暇なので、ついでに交通違反を捕まえていた、といったところです。 ちなみにJatsというカーストは土地持ち農民で、インドでは比較的恵まれているコミュニティーなのですが、Dalitなどの下層カーストに認められている学校や国の機関への優先枠を自分たちにも認めろ、という要求をし続けています。現政権は断固認めない方針のようですが、そもそもそのような”優先枠” を設定したこと自体が間違いの元だったと思われます。表向きは”インドにカーストは存在しない” といいながら、下層カーストに対しはそんな優遇策というか逆差別ともいえる制度を作って、国自らカーストの存在を認めているのですから。 とにかく、普段ちゃんと信号を守っている善良な運転手にとっては誠に不運な日でありました。日本では25年以上も無事故・無違反だったというのに。
後日この話を会社でしたところ、”信号無視など罰金は100ルピーですよ。1,100ルピーは飲酒運転の罰金です。だまされましたね!”。なんと信号無視の罰金は100ルピー(約160円)で済んでしまうそうです。やはりインドでは信号は参考程度になるわけです。