月別アーカイブ: 2016年11月

新紙幣ショック その後

その後、まだ十分な新紙幣が準備出来ていないため、多くのATMはサービスを休止しています。銀行には旧紙幣から新紙幣への両替もしくは銀行口座からの引きおろしするための長い列がならび、中には2時間も3時間も待ったあげく紙幣の”品切れ” に会い、銀行の器物を壊すなどの八つ当たりする市民もいるようです。”混乱は必至” といわれた今回の新紙幣ショックですが、私自身はクレジットカードや小切手が使える限りはそう困ることはありません。これまで、どうしても現金が必要だったのは、ゴルフ場でのチップ(300ルピー=500円ほど)や新聞代(170ルピー/月)、駐車場料金(20ルピー)の支払いぐらいです。                         もう数日したら銀行の行列も空いてくるでしょうから、その時になったら現金を下ろし、旧紙幣を換えてもらうつもりです。                                      銀行に並ぶ多くの人は銀行口座やカードを持っていない人なのです。以前もちょっと触れたことがありますが、インドでは銀行口座を持っている人は何と全体の半分以下です。日本では考えられないですが、それでも以前は20%ほどで、最近になって銀行口座を持つ人が急増した、という状況です。                                        新聞によりますと、今回の決定は市民の91%が支持しています。それだけブラックマネーが一般に知られ、問題になっていたということでしょう。

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*銀行の前で列を作る人々。預金をおろす人、紙幣を交換する人、女性、年配者とそれぞれ窓口は別れているそうですが、多くの場合途中で”品切れ” になってしまったようです。

11月8日の午後8時にモディー首相から、TVを通じて直接国民に通達されたわけですが、その2時間前に、全閣僚を集めて新紙幣切り替えについて通知されました。実はブラックマネーを一番持っているのは政治家なのです。その他ではビジネスオーナー、貴金属取り扱い店、不動産屋などが最大ブラックマネー保持者、すなわち脱税者といいうことです。    集められた閣僚の中にも相当数の”保持者” がいたはずですが、6時に告げられてからは、会議室から一歩も出られず、また携帯の電波が通じないようにされていたそうです。                               7時には各銀行の頭取がムンバイに集められ、RBI(インド準備銀行=インドの中央銀行)の頭取からこのニュースが告げられました。それまでこの政策を知っていたものは4名しかいなかったといわれています。                                      実は、今回のような新紙幣への切り替えによるブラックマネーの撲滅を扱った映画が過去2度も製作されました。事実があってそれを元にした映画、というのが一般的ですが、今回は順序が逆でした。でも、8日の夜の出来事はまるで映画を見ているようです。

実はこの政策が実施される何ヶ月も前から、”自宅に現金を保持しているものは8月15日の独立記念日までに銀行に預けなさい。今回はそれがブラックマネーであろうとなかろうと出所は問わない。いずれは断固たる処置をとりますよ” といういわば救済策がアナウンスされていたそうです。実はこれまでも何度となく”ブラックマネーを撲滅しますよ” という話しはあったのですが、実際には何もされなかったので、多くの人は今回のモディーさんの呼びかけも本気にしなかったそうです。8日8時の臨時ニュースの知らせには、”パキスタンと戦争が始まったか” などと思って人もいたようです。                          この”銀行口座開設期限” は9月末まで延長されたのですが、その時集まったお金というか銀行に預金された金額は日本円にして1兆円ほど。それでも政府は実際にはその3倍の3兆円あるとと見ていました。今回の措置で、残りの2兆円が一気に紙くずになったわけです。

インド現地では連日この新紙幣ショックで話題もちきりですが、1外国人としてはなかなか貴重な体験でありました。中国などもブラックマネーが膨大であろうと思われますが、マネして実施したらどんなことになるのでしょうか。

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*2,000ルピー新紙幣。やはりガンジーさんです。すべての紙幣にはガンジーさんが登場します。裏側はなんとサテライトがデザインされています。火星までロケットを飛ばすなどインドも宇宙大国のひとつであるということでしょうか。

 

 

AQI(Air Quality Index)

デリーでは、最大のお祭りであるDewali(デワリ)の季節になると靄(もや)がたちこめ視界不良になります。原因は農地で焼かれた藁などからの煙がデリー市内に忍び込み、そこにお祭りで使われた花火やクラッカーの煙、そして雨もふらず、風もあまり吹かないので、長いこと低く垂れ込めて街中霧がかかったようになります。要はひどい大気汚染ですが、             私は花粉症になるせいか、こんな靄にも少々反応し、くしゃみが増えます。早朝の散歩にも行く気がしません。部屋にこもって、せいぜいエアーバイクでエクササイズです。

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新聞では毎日AQI(Air Quality Index)が表示されますが、現在の数値はなんと900を超えて”Very Severe” を通りこして、表現が決まっていないゾーン、メーターが振り切れた状態です。許容数値は100以下。デリーの冬はディワリの時期以外は通常200-300ぐらいですから、900という数値がいかにすさまじいものかわかっていただけると思います。                                  というわけでさすがの私も空気清浄機を2基も購入することにしました。ひとつは居間に、もう一台は寝室用です。アマゾンから2台で23,000ルピーほど。(約4万円) 結構な出費ですが、命とまでは言わないまでも健康を損ねることと引き換えにはできません。                                                                                                                   購入したモデルはPanasonicのインド仕様のもの。国粋主義者ですから当然日本ブランドです。シャープも結構ありましたが、なぜか値段がとても高かったのでやめました。          でも通勤時の車の中や事務所にいるときにはエアコンは入っているものの、空気清浄機があるわけではないので、家の空気をきれいにすることでどこまで効果があるかよくわかりません。万が一この空気のために病に倒れたとしたら労災適用になるのでしょうか?

 

 

新紙幣ショック

日本でも大きく報道されたようですが、昨日(11月8日午後8時)に、モディー首相御自ら”本日の深夜12時をもって現在の紙幣(500ルピーと1,000ルピー)の使用を禁止する” との発表がありました。 (1,000ルピーが最高額紙幣)                                                    私は翌朝通勤途中の車のなかでゴビンちゃんに教えてもらったのですが、意外なことに事務所の社員は一様に大歓迎の様子。”とうとうやってくれた!!” ”モディーさんあっぱれ” といった声ばかりです。 ”混乱は必至” と報道されたようですが、みんな冷静です。

インドではブラックマネー(不正に取得したもので表には出てこないお金)や偽札が横行し、それらは巨額なのですが、銀行に預けられるわけでもなく、現金で隠されているわけです。当然税金の対象にもなりません。そういった不正蓄財を一気に”処分”したわけですから、まじめに働いて、税金をちゃんと納めている人にとってみれば喝采をあげたくなるのももっともかも知れません。                                                    現在の紙幣は今日から使えなくなりましたが、明後日からは銀行で新紙幣と交換してくれることになっていますし、ATMも使えるようになる予定です。今日は銀行は臨時休業で、今大急ぎで準備していることでしょう。                                では、上記のブラックマネーも銀行で交換してもらえば(あるいは預ければ)それらのお金はそのまま蓄財されるのでは?という疑問が出るかとおもいますが、50,000ルピーを超える金額については、その出所を明らかにしないと受け付けないというわけです。もちろん偽札は銀行でチェックされます。                                        なぜ昨晩午後8時をもって、”4時間後には使ええなくなる” と発表したかというと、8時にはすべての貴金属店が店を閉める時間だったからだそうです。

このような措置は前から検討されていたようですが、だれも実施した政治家はいません。今回も秘密裏に事をすすめ、”サプライズ!” って感じの発表でしたが、果たして本当に誰にもバレなかったかどうかはよくわかりません。難を逃れた一部の不正蓄財者はいたかも知れませんが、いずれにしてもこの広大で、13億人もの多様な人がいる国で、思い切ったことをしたものだと感心します。交通信号も守らないような社会ですが、今回の”お達し” はみんなちゃんと守ってるようですので、これも意外でした。旧紙幣はいずれ換えてくれるわけですから、とりあえず旧紙幣で商売してもよさそうですが、みんな政府の決定に従っています。

私個人的には、これから2日間をなんとか乗り切ればいいわけで、クレジットカードや小切手、そして100ルピー紙幣(50ルピーも10ルピー紙幣もあり)は使えるわけですから、なんとでもなります。今日のお昼も、”いつも贔屓にしてもらってますので、ツケでいいですよ” なんて店もあったし、出前と一緒にクレジットカードリーダーをもってきたレストランもあり、いまのところどうってことはありません。

親切なANA

5月以来の一時帰国で、次の帰国は来年の2月中旬か。そうすると約3ヶ月間分の日本食材を買って帰らねばなりません。米や醤油、味噌はインドでも買えるのですが、日本のものは違うし、インドでは値段が高いことも去ることながら選択肢がほとんどありません。いずれも重いものですが、買って帰りたくなる品物の筆頭です。その他は、乾燥わかめとかのり、干物、 みりん、だしなどなど。                                                私にとって今回の”買出し”の目玉のは、ウッドとユーティリティーいうゴルフクラブ3本の購入です。たった3本とは言え、スーツケースの中に入るわけではありませんので、別途小型のバッグを買って、別個の預け荷物としました。

出発前日に食品を詰め込んだ小型のスーツケースを宅急便で空港まで送っておき、出発日には衣類などが入ったスーツケースとゴルフクラブを持って成田空港に。            ANAのカウンターでチェックインというか荷物を預けようとすると、窓口には珍しくイケメン風の若い男性係員が対応してくれたのですが、                                                  ”お客様、お荷物3点になりますので、追加料金が発生してしまいますが”               ”どのくらい?”                                              ”6,000円ほどになります。でも重さは全部で46Kg以内ですので、この小さなスーツケースから大きいほうに中身を移して10Kg以内にし、それを機内に持ち込めば預け荷物は2つになりますので、料金がかかりません”。                                 ここで食品類が入ったスーツケースを開けて、荷物の移し変えはかなり面倒、と少々迷いましたが、”6,000円も払ったらずいぶんと高い食材になるな、日本で買ってゆく意味がないかも” などという考えに至り、思い切って移し替えをすることにしました。まずは重いし、機内に持ち込めない液体類、すなわち醤油やみりん、酒、そして米などを移し、          ”10.7Kgになりましたが、OKですか?” と聞くと、ちょっとためらってから ”はい、大丈夫です!”

やれやれ買出しも楽ではないな、などと思いつつ出発口に向かって歩き出したとたん、味噌がこの小さなスーツケースに残されていることに気がつきました。                    ”味噌は液体ではないけど、摘発されるかも”                            慌ててANAのカウンターに引き返しましたが、当然のことながらすでに荷物はベルトコンベヤーのかなたに。                                                今度は近くにいた女性係員に、”味噌は摘発されますかね?” と聞くと、”はい、ペーストですので、100gを超えるものは持ち込めません。ここで処分していただくか、ご自宅に送られるか・・・”                                                   ”そ、そそれは困る。味噌がなかったら死んじゃうよ。なんか方法ないですか?”        しばらくしてその係員の女性は、先ほどの若い男性係員と相談して、”では、今回特別にお味噌だけ無料でお預かりします。この紙袋のなかに入れてください。ただし、ただの紙袋ですので、無くなってしまう可能性もありますので、そのおつもりでお願いします”         おお!なんと親切な。インドでは考えられない対応。さすがはANAと感謝感激いたした次第です。

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*味噌をいれたもらった紙袋。デリー空港ではちゃんとトレーに入れてくれ、真っ先に見つかりました。めでたしめでたし。

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*たった3Kgにも満たない3本のゴルフクラブですが、これで23Kg まで許容される荷物のひとつに数えられてしまいます。こんな小型のバッグではなく、通常のゴルフバッグに入れて、余った空間に食品などを詰め込んで23Kgにすればよかったわけです。

 

カレー中毒にあらず

先月10日間ほど日本に一時帰国してきました。10月に行われる恒例の会議に出席するためですが、併せて運転免許証の書き換えや健康診断あるいは日本食材の買い付けなどいろいろできてありがたいことです。                                    もちろんいろいろな日本食が食べられるのも大きな楽しみの一つです。             初日は夕方家に着いたのですが、家には誰もいなかったので、さて何を食べるのかインドにいる時と同様自分で決めなければなりません。寿司かすき焼きか、はたまたうなぎか。 一人でレストランで食事というのは気が進まないし、寿司はこの先何度も食べる機会があるだろうし。一人ですき焼きというのも侘しいし、そうだ秋の味覚といえばさんま、秋刀魚の塩焼きにしよう!                                                さんまにがいかしょっぱいか。近くのスーパーに行くと、新鮮そうなさんまが一匹130円ぐらいで売っていました。約70ルピー。でもデリーでは絶対に買えません。            その日は少々肌寒かったので、熱燗にした日本酒と焼きたてのさんまの塩焼きのコンビネーションは誠に絶妙でありました。

日本滞在も4日目ぐらいになると上記にラーメンなども加えて、一通りの”和食” は楽しんで、たまには・・・などと思っていると、ランチタイムにインドとタイからの参加者に、”インドカレー屋に行こう” と誘われました。せっかくの一時帰国中ですからもちろん断ってもいいのですが、ちょうどカレーもたまには、などと思っていたところですので、お付き合いすることに。店の名前は”ヒマラヤ”。日本のインド料理屋はネパール人の経営のところも多いようですが、ここは北インド、すなわちデリー地方の出身とかで、デリーから来た同僚には口に合うのでしょう。                                                私は”本日のカレー” ということで、チキンカレーとナンの組み合わせ。810円。いわば日本の焼き魚定食のようなインドの定番メニューです。カレーそのものも悪くなかったでしたが、ナンのおいしいこと。焼きたてのさんまがおいしいように、焼きたてのナンはそれだけで食べられるほど絶品です。                                                 この日はたまたま誘われてインドカレーを食べたのであって、3日もカレーを食べないと落ち着かない、というわけでは決してありません。念のため。

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*この写真はその日のチキンカレーではありませんが、スープなどもついてこんな感じです。