月別アーカイブ: 2015年7月

インド人好みのお菓子は

海外を訪問する日本人の多くは気を利かせて、お菓子などなんらかの手みあげを持ってきてくれます。インド人にはどんなお菓子が受けるのか?これを予想するのは日本人にとってはとても困難なことだとおもいます。シンガポールはじめ大方のアジアの国では日本製品の高い評価もあってか、おおむね”日本の味”を受け入れてくれますが、インドではちょっと事情が異なります。

日本人なら無難と思われる、もみじ饅頭、どら焼き、萩の月、草加せんべいなど、日本を代表するようなおみやげが、過去インドの事務所にももたらされましたが、それらはすべて受けませんでした。申し訳ないですが。草加せんべいはまあまあだったかも知れません。もみじ饅頭などは口に入れたとたん、あろうことか吐き出す人や、あわててトイレに駆け込む人なども。失礼な!信じられられません。何がそんなにだめなんだ?と聞くと、”食感が・・・”とか”味がしない”とか。いくらなんでも吐き出さなくてもいいだろう!”あんこは豆だよ、みんな食べてるじゃないか。何が問題なんだ?”と聞いても、”あずき(豆)は食事の材料でお菓子に使うものではない”などとまた分けの分からないことを言います。じゃ、小麦はパンにするもので、ケーキやドーナツなどのお菓子に使ってはいけないのか?結局もっとも人気があったのは、何とコーラ味の飴と柿ピー(ピーナッツ入り柿の種)というなんとも庶民的というか、意外なものが。どちらも安くて良いですが、辛さとかの刺激がないとだめなのか?でもインドにも甘いお菓子は普通にあります。たとえばドーナツを砂糖シロップにつけたようなものとか、お餅を甘いミルクにつけたようなものとか。食感もあんこと似たようなものだとおもうのですが、彼らには全くちがうもののようです。

先日もシンガポールに行ったおみやげに、もっとも人気のある柿ピーとともに、試しに”味好み(わさび味)”と”でん六ミックス”も買ってみましたが、でん六ミックスはほとんど”売れません”でした。わさび味はまあまあ。なぜ?と聞いてみれば、でん六ミックスには小魚がはいっているからとのことです。”デリーの魚市場”でも書いたように、確かにデリーでは魚はあまり好まれませんが、どんなものか試してみよう、という気持ちはわかないみたいです。

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一般的にインド人は食に対して大変保守的です。インド人が日本に出張に行ったとしても、まずインド料理屋に行きます。インド価格の5-10倍くらいかかったとしても。そして彼らの必携品はインドのレトルトカレーです。中にはインドのパン(ナンやロティー)を持参してゆく人も珍しくありません。ましてやベジタリアンの人など、毎日持参したインドのパンだけを食べて1週間、2週間過ごした、という人さえいます。日本人からすると、なんでそこまで、日本にはおいしいものは一杯あるのに、と思いますが仕方がないですね。味覚が全く違うし、ベジタリアンも日本にはほとんどいませんからね。

 

デリーの魚市場

デリーの人たちは魚料理にあまりなじみがありません。海から500Km以上も離れているのですから当然なのですが、デリーにも魚市場があると聞いてさっそく行ってみました。そこは事務所があるデリーの東南地区の一角で、聞くところによるとバングラデシュからの移民が中心になっているそうです。バングラデシュは昔インドでしたが、インド独立後イスラム教徒の国として東西パキスタンとして分かれて、東の方が現在バングラデシュですね。コルカタ(昔のカルカッタ)地方と同じ民族というか地域で、ベンガル湾から取れる魚を豊富に使った料理が有名です。やはりカレー味が中心ですが、日本人の口にはとても合うと思います。ベンガル湾で朝獲れた魚を毎日電車でデリーまで運び、11時ごろから市場が開いているというわけです。

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おおよその場所は聞いていたものの、住所までは聞いていなかったので、近くで数人に聞きながらたどり着けたのですが、今回はラッキーなことに”知ってる詐欺”には会いませんでした。小さいところですが、きっと有名なのでしょう。商店街の一角で、写真でみると大きそうに見えるかもしれませんが、4-5件の”個人商店”があるだけです。

まず驚いたのはハエの大群です。上の写真では分かりにくいでしょうが、細かい黒い点はすべてハエです。魚の外観が変わるほどです。普通の日本人ならこれを見ただけで食べる気、というか買う気にならないでしょう。私も同様、中に足を踏み入れるのも躊躇されましたが、せっかく来たのだからと気をとりなおして突入。

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魚の種類はどうもなじみの無いものばかり。暖かいベンガル湾からのものと、淡水魚が混じっています。鯉とかなまずとか。”なまずはおいしいよ!”とずいぶん薦められましたがちょっと、、、良く見ると氷に埋もれてサバがあるではないですか。私の好きな青物魚。氷に埋まっていたので、ハエもたかっていないし、ということで1Kg(4匹)で530ルピ‐(約1,000円)で購入。今夜はサバの煮付けで一杯、なんて考えていたら値段折衝も忘れてしまいました。ちょっと高かったか?鎌を立てたような刃物で尻尾や、背びれなどを切ってくれます(写真右)。ちゃんと氷のなかにも入れてくれました。えびなんかもおいしそうではありましたが、どう料理したらよいか頭に浮かばなかったのでパス。

帰宅後すぐに頭と内臓を取り除き下ごしらえ。多少魚臭くはなりましたが、懐かしさが先立つのでしょうか、それがまた不思議と気になりません。サイトのクックパッドを見てサバ煮を製作。とうもろこしを茹でるくらい簡単です。インドサバでもベンガルサバでもなく、味のほうはまちがいなくあのサバでありましたが、脂ののりがイマイチでやや淡白な味でした。ノルウェーとか寒い国のものでないとたっぷりと脂が乗らないのかも知れません。残ったサバは竜田揚げなんかにしたいけど、揚げ物は面倒だし、どうましょうか。そういえば先日泊まったバンガロールの日本人向けホテルでの朝食はこんなメニューでした。海外ではよく見かける間違いですね。(バサの竜田揚げ?)

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焼きとうもろこし売り

赴任以来会社からの帰り道、大通りの両脇に焼きとうもろこし屋が絶えたことがありません。会社の近くには駅があり、そこからの人手を当てにしてのことでしょう、ほぼ30メートル間隔で延々と”店”というか個人販売を行っています。炭をおこして、焼き網など使わず、炭の上に直接とうもろこしを置いて焼きます。一本10ルピー(約20円)。

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実は1-2年前に同僚と一緒にこの焼きとうもろこしを食べたことがあります。”火が通っていれば問題なし!”はその通りなのですが、”左手”を使って直接実のところを掴んで焼いている人もいたので、芯(持つ所)が残っているものを選んで買いました。いくら火が通っているといっても、人のう〇ちまで食べさせられてはたまったものではありません。それでも買った後自分自身でもう一度火にあぶって”消毒”したような覚えがあります。味はというと、しょうゆでもかけたらもっとマシになるかなぐらいで、あまり印象はありませんでした。もちろんあたりもしませんでした。

そんな程度の思い出しかないのですが、毎日見ていると気になるし、夏がく-れば思い出す、見たいなとうもろこし。日本の新鮮なとうもろこし、煮ても焼いてもおいしいですよね。そんな郷愁にかられて再度挑戦。とはいっても今回は生のものを買ってゆでて食べてみることにしました。さすがに焼いてないから安くしろ、なんて思いもよらず、また値段も聞かないで有無を言わさず30ルピーだして3本ゲット。車から降りて一瞬の買い物でした。

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さて、早速帰ってお料理。皮というのでしょうか、さやというのでしょうか、剥くときに毛が散らばって結構面倒でしたが、ゆでるだけですので簡単。しかし、お味のほうは?3本のうち一本は若くてやわらか目で食べられないこともなかったですが、あの独特の甘みがほとんどありません。後の2本は茹で上がってそこそこ冷えたとたんカチカチのとうもろこしになってしまい、食べられたものではありません。焼いたらなんとか食べられるのか?少なくとも日本にあるスイートコーンとは似ても似つかぬもので、きっと飼料用のとうもろこしかなんかだと思われました。残念。

 

住めば都

読者の方から”このブログを読めば読むほどインドには住めないなと思いました”という感想をいただき、ちょっとネガティブなことばかり書きすぎたかな、と反省させられました。私としては”こんなに大変なんだぞ”なんて苦労話をすつつもりは毛頭無くて、面白そうな話題だけを取り上げたつもりでしたが、”超優れものOLA”以外にたしかにいい話はほとんどないですね。でも実際生活ではそれほどのことはなくて、結構普通にやっていけます。日本人の感覚からすれば”えっ!”ということが頻繁にあるというだけで、慣れればどうということはありません。

確かにインドは日本の常識がことごとく通じないところですが、一方日本の常識は世界の非常識と言われるように、私たちの常識を疑ってみる必要もあるかも知れません。日本では仮に電車が数分遅れたりしたら、”お急ぎの所誠に申し訳ありません”といった車内放送が何度も流れますが、実際のところそんなに謝るほどのことでもないと思います。TVニュースさえ時間通りに始まらないのは、インド以外の国でも珍しいことではありません。清潔にするに越したことはないのでしょうが、人間というか動物として最低必要な抵抗力までなくしてしまってはどうかと思います。人間だって動物なんですから。日本人は既に”無菌室”で生活している感さえあります。インド人いい加減すぎまるが、日本人はきっちりしすぎという両極端ですね。

インドで働くと、その過酷な環境から会社から”ハードシップ手当て”がつくところが多いとおもいますが、インド人にしてみると”なんだそれ?こんなに自由で暮らしやすいところがハードシップだと?”と言うに違いありません。自由でストレスも無く(インド人にとって)、物価も安く、おいしいものがいっぱい、なんでもある。インド人は無計画だと?そんなに細かに計画したって、どうなるかわからないし、明日は死ぬかもしれないんだぞ。。。確かにそれはそうなんですよね、日本人的常識をほどほどにしておけば、結構住みやすいところかも知れません。

さて早速新しい優れものを発見しました。それは”Zomato”というレストラン紹介サイト。もちろん日本にもレストラン紹介サイトはあるでしょうが、このZomotoは、携帯のGPSから自分の現在位置と近隣のレストラン情報がすぐに検索できるというものです。およそ半径1Km以内にあるレストランの場所、種類、必要予算、評判等が表示されます。もちろんその範囲を狭めたり、広めたりできます。私のようにデリー(事務所のあるところ)やグルガオン(住んでいるところ)に不案内の者にはとても重宝します。日本にもグルナビなんてのはありますが、今自分のいるところの近辺にどんなレストランがあるか?なんて検索ソフトはあるのでしょうか?

というわけで、インドならでは(と思われる)ものとともに、インドの良いところ、インドにもこんなお店があるよ、というようなところも紹介して、多少これまでのネガティブイメージを修正して行こうと考えております。

3ヶ月ぶりのシンガポール

5月11日に赴任して以来、約3ヶ月ぶりにシンガポールに帰ってきました、というか出張に参りました。シンガポールはやっぱり暑い。ちょうど現在のデリーと同じような気温と湿気です。でも、パスポートコントロールは極めて効率的で、機内からの荷物はすぐに出てくるし、タクシーはじめ何事も日本のようにスムーズに運ばれ、なんのストレスもなし。

ニューデリーを出るときには、あれほど絶賛した”OLAタクシー”でしたが、決定的欠点がありました。運転手が道を知らない場合はどうしようもありません。”空港のターミナル3までお願い”と言って、タクシー運転手が空港を知らないはずはないのですが、私の自宅近くからの行き方がよく分からなかったらしく、しばらく迷っていました。良く分からなそうなので、”道が分かるのか?”と聞いても、自信たっぷりに”エアーポート、ターミナル3、大丈夫”と大げさな身振りで示します。正直に知らないと言えば教えてあげたのに。距離は多めに走ったと思われますが、料金は以前と変わりませんでした。たぶんGPSで距離、すなわち料金が決まってしまうのでしょう。でもこのお陰と、私が出発時間を勘違いしていたため、チェックイン時は出発時間一時間を切ってしまい、空港スタッフから”走って行って!”などと急かされても、荷物検査や出国審査をダラダラやっているので、急ぎようがありません。もっともチェックイン出来たということは、置いていかれる心配はありませんので、仮に出発が遅れようが知ったこっちゃなし。

さて、久しぶりのシンガポール、何でもあります。何を食べましょうか。ホテルに着くまで特にこれという希望も無かったのですが、エレベーターの中に貼ってあったお寿司の写真を見てたまらなくなってしまいました。宣伝写真だから余計うまそうに見えます。インドでも寿司はないこともないですが、安全第一、あまり食べる気がしません。例によってビールと日本酒と寿司、もうこれしかない!!宣伝写真につられてホテルのすし屋でも良かったのですが、近くのすし屋を知っていたので、ちょっと日用品の買い物のあとその店に。スタッフはシンガポーリアンであっても、日本の店ですから注文になんの苦労もなく、熱燗の温度もバッチリ。グイっと熱燗をやって、海苔巻きの一つもつまめばそれはそれば至福のひと時。寿司とビールと日本酒を発明した人には生きていなくともノーベル賞上げるべし。

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トイレ事情

先日、家にトイレを作ってくれないのを嘆いて自殺してしまった17歳の少女の新聞記事を紹介しましたが、インドのトイレ事情は誠に深刻です。全体の50%の家にはトイレが無く、老若男女いわゆる”野ぐそ”で凌いでいます。先日もムンバイに出張した折、朝散歩中に貧民街(スラム街というほどでもない)の近くを通りかかると、下半身裸の子供が母親に連れられて、道端で。一応舗装道路ではない、草の生えた道路脇です。終了後、母は近くに生えている草の葉っぱをちぎってお尻を拭いてあげておりました。そのすぐ近くでも別の少年がしゃがんで同様に。一般的には線路の脇でする人が多いようですが、まだ赴任してから電車に乗ったことはありませんし、線路を観察したこともありませんので、その様子をお伝えするのは又の機会に。

そんなひどい状況を改善しようと、去年新しく首相に就任したModiさんが、今後100日間に530万個の公衆トイレを作るという政策を発表しています。実に一日5万3000個を作るという、とても現実的とは思えない計画ですが、その後どうなりましたか。噂によりますと、インドでは個室で事をいたすのは気持ちが悪い、開放的な外でやる方が良い、といって反対意見も少なくないとか。日本人にはまったく理解しがたい考え方をするところです。ちょうど今日(7月18日)の新聞によりますと、全国の学校にトイレを建設しようということで、42万件(校?)が新たに認可され、そのうち22万8千件ほどが完成したとのことですから、計画通りとは行かないまでもかなり急ピッチで実行されてはいるようです。

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写真は7月16日にバンガロールでお世話になったトイレの写真です。これはIIScというインド最高峰の科学研究所といわれる施設のなかのトイレなのですが、さすがにインドのトイレにしてはかなりきれいな方と思われます。私はそれを見て、何の疑いももたずに座って開放感に浸っておりました。でも良く見るとインドではおなじみの手動式ウォシュレットはあるものの(写真の左側)、紙が見当たりません。手動ウォシュレットがあるので、手を使って拭く必要はないのですが、水で流した後どうやって水分をふき取るか?日本のウォッシュレットと違って、手動ウォッシュレットはシャワーのように広範囲に水が吹き付けられますので、ふき取る紙が必須です。ハンカチもありましたが、思いついたのがたまたま持っていたノートブック。その一ページを裂いて、丸めては伸ばし、揉んでくちゃくちゃにしてやわらかめにして使ったところ、これがまた結果的に大正解。水を含んでもしゃきっとしたままで、溶けたり型崩れがしません。ちょうどキッチンペーパーかなんかを使っているような感覚です。もちろんそれをトイレに流したりはせず、近くにあったゴミ箱に捨てましたが、水を十分吸収したにもかかわらず、原型をとどめておりました。水分を含んでやや黒ずんだ紙に、うっすらと青色の罫線が見えたのが妙に印象的でした。

ところでインド人はこの状況でどうするのか?私の体験を話しつつローカルの人に確認したところ、90%以上の人は自分の手で水気を吹き払っておしまいなのだそうです。汚いわけではありません。しかし、自分の手で拭いただけでは、相当びしょびしょの状態でパンツ、そしてズボンを履く事になります。まあそれでもしばらくしたら自然に乾燥はするでしょうが。実は、自宅、ホテル、事務所以外のトイレを使ったのは今回が初めてでありました。インドではポケットティッシュは必携です。

Oganized Chaos(秩序ある混沌)

悪名高きインドの交通マナー。信号無視は当たり前。赤でも左右から車が来ていなければ平気で突っ込んでいきます。逆走も日常茶飯事。またそれを咎めようとか、止めさせようという人も居ません。車線も関係なし、仮に車線が書いてあっても隣の車とくっつくくらいに詰めて、我先に行こうとします。一気になるべく多くの車を流そう、という公共の利益の為といった精神からではもちろんありません。車線変更時はもちろんの事、曲がる場合でも方向指示器は出すほうがまれなくらいです。もっとも方向指示器が壊れている場合も多いですが。その上クラクションはこれでもかこれでもかと言う風に鳴らしまくります。また鳴らされたからといって怒る人もいません。トラックの後ろには”Horn Please”あるいは”Blow Horn”なんて書いてあって、”クラクションを鳴らしてくれなかったらお前のこと気がつかないぞ!”とクラクションを鳴らすように注意喚起さえしています。

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*分かりにくいですが、左は4車線の道路に6列で車が並んでいます。                 右側は”Blow Horn”と注意喚起したトラック。

こんな状態を”Organized Chaos”といったローカルスタッフがいますが、”秩序ある混沌”とでも訳しましょうか。日本人でこんな状態をみたらとても運転する気にならないどころか、クラクションの音を聞いているだけで、耐えられなくなる人もいるでしょう。しかし、意外に事故らないで、譲り合いつつ道はそこそこ流れているようにも見えます。そりゃ、交通ルール無視なのだから、自分を優先しつつも、最後は事故は避けるべく譲るべきところは譲る以外に事故を防ぐ方法はありませんからね。

ところで毎日いったいどのくらい交通事故が起こっているのだろうか。先日の新聞には年間13万人の人が交通事故で死んでいると書いてありました。日本は今1万人強ぐらいでしょうか?人口が約10倍ですので、事故死者もおよそ10倍強、というとなんかルールを異常に守る日本が”効率が悪い”気もしてきます。しかし実際のインドの統計は信用できません。13万人といわれたら実際にはその倍は居る、と見た方が妥当と言われています。さらにインドは車とは縁の無い人も何億人もいるわけですから、そう考えるとやはりインドは日本の3倍4倍の割合で交通事故者が多いこととになり、マナーの悪さはちゃんと結果を伴っている、と言えるわけであります。

ところで仮に交通事故で死んだら、保険はどのくらい出るか?基本的には日本でいうところの”示談”がまず優先されるそうです。示談の場合、保険会社からの保険金は出ません。稼ぎの多い人はそれなりに、稼ぎの少ない人はわずかの金額で示談が成立というわけです。示談が成立しなければ、裁判所が判断し、命令します。裁判所が金額を決めた場合には、保険会社から保険金で賄われます。もちろん保険に入っていればですが。でも歩く人も車を運転する人も交通マナーはメチャクチャですから、責任範囲がたとえば50/50なのか、100/0か、などを決めるのは極めて困難と思われます。これは想像ですが、金額を決める要素は、死んでしまった人の収入と、払う人の懐具合を勘案して、適当に決めるケースがほとんどなのではないと思われます。

 

ムンバイで聞いた昔の日本の話

10年一昔といいますが、ムンバイであるインド人にちょっと前の日本についてのこんなエピソードを聞きました。

10年ほど前に私(ムンバイのタクシー運転手)の親戚の人が東京に旅行に行って、ホテルからタクシーに乗ったのだが、タクシーの中に財布を忘れてしまった。財布の中には多額の現金だけでなく、航空券、カード類等大切なものがすべて入っていた。気がついてあわててホテルに連絡したところ、「恐らく無事に戻ってくるでしょう」と冗談を言っているとしか思えない対応であった。しかしその日の夕方、本当にそのタクシー運転手がわざわざそのホテルまで届けてくれた。本当に驚いて、タクシー運転手にお礼の気持ちを渡そうとすると、その運転手はどうしても受け取らなかった。再び驚くとともに大変感銘を受けた、というお話しです。

さらに25年ほど前には、ムンバイのある有名な作家が日本を旅行している間、ある駅のトイレで腕時計を置き忘れてしまった。気がついたときはもう遅いと思ったが、一応駅員に相談すると、「どこのトイレに忘れたのですか?一応一緒に行って見てみましょう」と言うので、”自分がトイレから出て相当時間が経っているので、何人も出入りしたに違いない。あるわけがない”と駅員の対応を冗談というか、まじめに取り合ってくれていない、と思った。しかし実際に行ってみると、そこには置き忘れた腕時計がそのまま置いてあるではないか!!大変驚き、後日この顛末を新聞に投稿したとのことです。

先の運転手は、その作家の文章を見たときには、その話を信じられなかったと言います。しかし、自分の親戚が日本で体験した話を聞いてからは信じるようになったとのこと。インド人にしてみれば、いやほとんどの外国人にとっては奇跡でしょう。私(筆者)はその運転手に、「昔の日本は家の鍵をかけないで外出してもまず何も起きなかったよ。でも今はそうは行かないけど、忘れ物が手付かずでそのまま戻ってくるのは今でも珍しいことでは無いと思う。特にその持ち主が外国人だったら特にね」と言ったのですが、そうしたら「日本には貧しい人が居ないからだろうか?」というので、「日本にも貧しい人はたくさんいますよ。食べるのに困っている人はまずいないとは思うけど」 でもこれはそういう問題でしょうか?”衣食足りて礼節を知る”とは確かにそうなんですが、これは日本の文化とお呼ぶべきものではないかと思います。教育、家庭のしつけ、伝統、愛国心など様々な要素が絡み合っての結果と思えます。

今では状況は変わって、上記のような話しは、昔話と言われるのかもしれませんが、まだまだ世界標準からすると極めて高い民度、道徳性を保っていると思います。このインド人の話は、日本人として聞いていて誇らしいものでしたが、昔話には決してしたくはない、日本の宝物として守ってゆきたいものの一つだと思います。

インドにはネコがいない?

出張であってもインドにしばらく居た人なら気がつくかも知れませんが、インドではネコをほとんど見かけません。犬は飼い犬や野良犬含めて普通にいます。家の周りでも、朝散歩すると野良犬がまとわりついて来て困ります。フレンドリーなのはいいのですが、誤って足や尻尾を踏んで噛み付かれては、狂犬病の予防接種をしているとはいえ、どんな病気になるか分かったものではありません。かといって仲良くなって、毎日待たれるのも困るし。犬は一度えさをもらった人はずっと忘れないといいますから。この酷暑の時期、犬にはとてもつらいことでしょうが、暖かいところが好きなネコは居てよさそうなものだけど。

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実は豚もいっぱいいます。”のら豚”です。のら豚ですから持ち主は居ないと思われます。野良犬に襲われないのか心配になりますが、犬たちはそれほどまでには食べるものに困っていないということでしょうか。インド人は豚をまず食べません。インドに1億人ほどいるイスラム教徒はもちろんのこと、ヒンズー教徒の人たちも「豚なんか食えるか」見たいに言います。どうして?と聞くと、「何でも食うし、不潔そうじゃないか」。

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不潔って。。。ブタもインド人には言われたくないかも。でも一番の理由は豚を食肉として処理する人が居ないということのようです。豚は食べる人が少ないので、それを業務として肉にする解体業者というか、流通網が無いということのようです。こういった野良豚を素人が適当に肉にして売っているかも知れず、怖いというか気持ち悪くて食べる気がしないというわけです。その点、鳥や羊は当局にしっかり監督された業者が扱っているので安心であるとか。じゃ、先日韓国料理屋で食べた豚の骨付き肉スープも、その辺に居る野良豚をだれかが適当に処理したものだったのだろうか。

話がやや逸れてしまいましたが、なぜネコが居ないのか最近理由がわかりました。ネコはねずみを採るからです。どういうことかというと、ヒンズー教ではねずみは神様の使いとされているのです。よってそのねずみを採るネコはけしからん、というわけで好まれないわけです。もちろん食用にする人もいませんので、ペットとし飼われなければ当然見かけなくなりますね。

インドの国勢調査

たまにはまじめな内容のものを書いておきます。もともとこのブログは、今後インドを担当するであろう人のために情報を書留めておこうとはじめたものですし。

いつもしっかり新聞を読んでいるわけではないですが、今日は土曜日でもあり一面を開いてみるとインドの国勢調査の結果が載っていましたので、簡単にまとめておきます。都会と田舎に分けてそれぞれの生活実態を端的に表わしています。都会に住む世帯が1億1千万、田舎は1億8千万世帯、全体では2億9千万世帯としており、仮に一家族4人としますと、合計12億人ほどになりますので、ほぼインドの人口になります。(もちろん全世帯を調査したものではなく、たとえば都会ですと約半分の6千5百万世帯を調査したと書かれています)

1.都会の生活者:全体の1億1千万世帯のうち、電気が来ている世帯は55%。冷蔵庫、固定電話、洗濯機、モーターバイクの4つを持っている世帯は、7.8%の860万世帯。それらの1つでもを持っている家庭は9%の1千万世帯。あまり変わりません。家に水道が来ていない世帯は4.5%の5百万世帯。収入ゼロが350万世帯(3.2%)。収入ゼロの人たちがどのように生活しているのかは書いてありませんでしたが、Begger(物乞い)は10万世帯となっていました。

2.田舎の生活者:全体は1億8千万世帯ほど。そのうち約半分は貧困家庭。75%は毎月の収入が5,000ルピー(約9,500円)以下。10,000ルピー以上は8.3%。所得税を払っている家庭は4.6%ほど。(インドでは10,000-ルピー以上の収入があって所得税が発生するということですからほぼ一致します)冷蔵庫の普及は11%ということですからこれは都会生活者とほとんど変わらない数値です。暑いから優先されるのでしょうか。一部屋のみで生活している家庭は13.3%。4輪自動車を保有している家庭は2.5%、二輪車ですと17.4%になります。しかし携帯電話の普及率は68.4%とそうとう高い数値です。いまや生活の必需品ですね。確かにこれまで携帯をもっていないというインド人を見かけたことはないです。

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左が一面で、右が続編の16ページ目です。左の紙面の下の方には”17歳の少女が家にトイレを作ってくれないと嘆いて自殺した”という記事も載っています。彼女の家は4つも部屋があったのに、トイレは優先順位が低かったとのことです。

ついでに、インドでは以下のような死亡記事とは別に死んだ人の写真を載せて、”心当たりの人は居ませんか?”と問い合わせる記事が普通に載っています。日本では考えられないですね。

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